引っ越し準備をしていると、思わぬところで手が止まることがあります。
クローゼットの奥から出てきた、部活で使っていたサックスやフルートのケース。
黒いケースを持ち上げたときの、あのずっしりとした重さ。
その重みを感じた瞬間、
「これ、どうしよう」と考え込んでしまう。
もう何年も吹いていない。
でも、簡単に手放していいものなのかもわからない。
高かった記憶もあるし、部活の時間がよみがえる気もする。
捨てる、と決めるのも違う気がする。
かといって、新居に持っていくかと言われると、それも迷う。
今、あなたはいろいろな気持ちが混ざって、片付けの手がぴったり止まってしまっているかもしれません。
でも、引っ越しの片づけには期限があります。
他の荷物はどんどん段ボールに入れられるのに、この楽器だけは決められない。
この記事では、そんな気持ちや迷いをいったん整理するための視点をお伝えします。
「捨てられない」のではなく、「決断が重い」気がする
部活で使っていた楽器は、ただの持ち物とは少し違います。
練習の時間や、うまく吹けなかった日のこと、最後の演奏会。
そういった記憶が一緒に残っています。
だから「使っていないなら手放す」という単純な話になりにくいんです。
これはあなたが優柔不断なのではなく、決めなければいけないときに、たくさんの要素が含まれすぎているのが原因です。
- 思い出
- 金額の記憶
- また吹くかもしれない可能性
- 親に買ってもらった背景
考えることが多すぎると、人は動けなくなってしまうことがあります。
止まるのは、あなたの決断力がたりないのではなくて、それが「重い決断」だからです。
「いつか」という想いが気持ちを重くする
もしかするとあなたは、
「今は吹いていないけれど、いつかまた時間ができたら」
そんなふうに結論を先延ばしにしていて、気がついたら何年も過ぎている、という状態かもしれません。
でも、その「いつか」のために場所を空け続けて、メンテナンスもできずに眠らせておくことは、「今のあなた」にとって、実は負担になっていませんか。
引っ越しは、暮らしを見直すきっかけでもあります。
楽器をどうするか決めることは、過去を捨てることではありません。
今の自分に合った距離に、置き直してあげることかもしれません。
迷いを整理するための「3つの物差し」
どうしても決心がつかないときは、自分の中に新しい基準を取り入れてみませんか。
以下の3つの視点で、いまの気持ちを見つめてみてください。
今とこれからの生活に「居場所」があるか
引っ越したあと、その楽器に触れる場面を想像できますか。
「また吹くかも」ではなく、
具体的に「いつ・どこで・どんなふうに」使うか、が思い浮かぶでしょうか。
ぼんやりした可能性なのか、現実的な予定なのか。
ここを分けてみるだけで、気持ちは少し整理されます。
置いておくことが負担になっていないか
見るたびに少し気になる。
手入れできていないことに、どこか引っかかる。
それは罪悪感というより、「未完了の何かがいつも心の中にある感覚」に近いものかもしれません。
持っていることで安心するのか、
持っていることで少し重くなるのか。
今、どちらの気持ちが強いでしょうか。
サックスならタンポや管の状態、フルートならキーの動きやくすみなど、手入れをしないまま置いておくと少しずつ状態は変わっていきます。
湿気の多い場所ではタンポにカビが出たり、銀製のフルートは黒ずみが進むこともあります。
気づかないうちに、コンディションが変わってしまっているということもあります。
これからも定期的にお手入れをし、良い状態を保ち続ける覚悟があるでしょうか。
「持っているだけ」で心が痛むなら、それは手放し時のサインかもしれません。
「思い出そのもの」は消えない
部活の時間や演奏会の記憶は、本当に楽器そのものがないと消えてしまうでしょうか。
写真や音源、記憶の中に残っているものもあります。
「楽器=思い出全部」になっていないか、いったん切り分けてみるのもひとつの方法です。
そうすると、選択肢が二択ではなくなります。
自分の中だけで決めなくてもいい
残すか、手放すか。
ここまで読んでも、考えても考えても、やっぱり同じところを回ってしまうこともあります。
ケースを開けては閉じ、「どうしよう」と思うだけで時間が過ぎていく。
全部を自分の中だけで整理しようとすると、重くなってしまいます。
そんなときは、判断そのものを、自分の外に出すという考え方もあります。
いま自分が見えていない情報を、一度確認してみる。
それだけでも、迷いの質が変わることがあります。
たとえば、
「今このサックスやフルートは、どんな状態なのか」
「もし手放すなら、どんな扱いになるのか」
自分ではわからない部分を、楽器の扱いに慣れている窓口で一度確認してみる。
楽器は専門性が高く、状態によって評価が大きく変わることもあります。
楽器の査定も扱っている福ちゃんのような窓口で、今の状態を一度見てもらうという方法もあります。
その情報を知ったうえで、改めて残すかどうかを考えることもできます。
売らなければいけないわけではありません。
査定額を聞いたうえで、やめるという選択もできます。
相談だけ、という使い方もできます。
大事なのは、一人で想像だけを膨らませ続けないこと。
引っ越しには期限がありますが、「最終決定」までを今日終わらせる必要はありません。
迷いを抱えたまま動けなくなるより、詳しい人に聞いてみる。
サックスのタンポの状態や、フルートのキーの調整状況など、専門の目で見ないとわからない部分もあります。
思っていたより状態が良いこともあれば、逆にメンテナンスが必要だとわかることもあります。
結論を急ぐためではなく、迷いを整理するために使う。
それも、引っ越しという区切りの中で選べるひとつの方法です。
