引っ越しの荷造り中、クローゼットの奥や引き出しの隅からひょっこり顔を出した古い腕時計。
「あ、こんなところにあったんだ」
止まった針や少し色あせたベルトを見つめながら、作業の手が止まってしまった、そんな経験がある方も多いと思います。
「当時は奮発して買ったんだよな」
「親からもらった大切なものだったっけ」
「でも、今の自分にはもう似合わないし、動かすのにもお金がかかりそう」
そんないくつもの気持ちが浮かんで、結局「あとで考えよう」と箱に戻してしまう。
この繰り返し、何度かやっていませんか。
引っ越しの期限は刻一刻と迫ってきます。
新居に持っていくべきか、ここでさよならするべきか。
実は、あなたが今感じているその「迷い」は、時計自体の問題ではなく、自分一人で決めなければいけないという「決断疲れ」です。
この記事では、そんな「捨てられない、でも持っていけない」腕時計と、後悔せずに折り合いをつけるための考え方をお伝えします。
なぜ「古い腕時計」で手が止まってしまうのか
引っ越し準備は、ただでさえ決断の連続です。
何を捨て、何を残すか。
その膨大な選択肢の中で、腕時計は特に厄介な存在になりがちです。
理由はシンプルです。
腕時計には「かつて支払った金額」や「誰かの想い」という目に見えない意味が残っているからです。
「高いお金を出して買ったから、安易に手放すと損をする気がする」
「大切にしていた記憶があるから、捨てると申し訳ない」
そうやって、私たちは「損をしたくない」「後悔したくない」という気持ちから、結論を先延ばしにしてしまいます。
でも、決まらないものを抱え続けることは、気がつかないうちに想像以上のエネルギーを使っていて、あなたを疲れさせてしまいます。
当時払ったお金は戻りません。
でも、これからの時間をどう軽くするかは、今の選択で変えられます。
迷いを整理するための「3つの物差し」
どうしても自分一人では決められないとき、無理に「売る」か「捨てる」かを選ぼうとする必要はありません。
まずは、以下の3つの物差しに当てはめて、今の状態を整理してみましょう。
これからの生活で「身につけている自分」がイメージできるか
シンプルで分かりやすい基準です。
新居へ引っ越した後、その時計を腕に巻いて出かける自分を想像できますか?
「いつか修理したら」
「いつか使うかも」
という言葉が出てくるとき、その「いつか」は、残念ながらなかなかやってきません。
今のあなたのライフスタイルに合うかどうかが、一番正直な答えです。
その時計は「場所」だけでなく「心」も占領していないか
「置いておくだけなら場所を取らないし…」
と思うかもしれません。
でも、目に入るたびに「どうしようかな」と小さな悩みが生まれるのなら、それは心の余白を少しずつ削っていることになります。
新居ではもう少し軽やかな気持ちで過ごしたいなら、その「小さな悩み」を物理的に手放すことを考えてもいい時期かもしれません。
「写真」にして残せば、手放せるか
あなたが手放したくないのは、その「時計」自体でしょうか。
それとも、その時計にまつわる「記憶」でしょうか。
一度、スマホで綺麗に写真を撮ってみてください。
その画像を見返したときに
「写真に残したし、もう手放してもいいかな」
と心から思えるのであれば、その時計は、形あるものとしての役目を十分に果たし終えているのかもしれません。
「全部を自分で決めなくてもいい」という考え方
ここまで考えてみても、「やっぱり自分では判断がつかない」という方へ。
そんなときは、無理に自分で答えを出そうとしなくても大丈夫です。
私たちは、体調が悪ければお医者さんに行き、髪が伸びれば美容師さんに任せます。
それと同じで、自分では測りきれない物の価値は、その道の見識がある人に相談するという方法があります。
「自分がどうしたいか」
ではなく、
「これは今、世の中でどう評価されるのか」を知ること。
そうすることで、「大切に持っておく」か「誰かに譲るか」なのか、「思い切って処分」するか、を、決める判断基準を増やすことができます。
「安く見られたらどうしよう」と不安になる気持ちもあると思います。
でも、相場を知ることは「売る・手放す」と決めることではありません。
いま市場でどう評価されているのかを知るだけでも、残すか手放すかの判断材料になります。
最後に:迷いを一人で抱えなくてもいい
一人の力で、引っ越しの荷物すべてに正解を出すのはたいへんな作業です。
ここまで読んでも、まだ決めきれない場合は、「売るかどうか」を決めるためではなく、
いまの価値を知るためだけに、誰かの目を借りるという方法もあります。
そして
「どこに頼めばいいかわからない」と考えているうちに、また箱に戻してしまうこともあると思います。
たとえば、着物やブランド品、時計などを幅広く扱っている福ちゃんのような買取サービスでは、「まだ手放すか決めていない」という前提でも、状態や相場を教えてくれます。
箱がない時計でも、動かない時計でも。
たとえば、電池が切れたままのものや、オーバーホールが必要そうなもの、ベルトが傷んでいるもの、文字盤が少し焼けているものなども含まれます。
状態によっては値段がつかないこともあります。
それでも、一度見てもらうという選択はできます。
査定額を聞いてから「やっぱり持っておきます」と断っても、費用はかかりません。
時計もブランド品のひとつとして査定対象になります。
また、もし他にも気になっているものがあれば、時計と一緒にそっと出してみても大丈夫です。
すべてを決めてからでなくていい。
まずは「これ、どう思いますか?」と聞くところからはじめてみるのも選択肢のひとつです。
「これは難しいですね」と値がつかないこともあるでしょうし、
「思っていたより評価されるんですね」となることもあります。
どちらにしても、
自分だけで想像していた不安が、具体的な情報に変わります。
想像はふくらんでいきますが、事実は静かです。
それだけで、迷いはずいぶん軽くなります。
引っ越しは、新しい生活の始まりです。
全部を自分一人で決めきろうとしなくても大丈夫。
その時計についても、まずは「どう思いますか?」と誰かに聞いてみる。
それだけで、次の一歩が見えてくることがあります。
